東京高等裁判所 昭和26年(ラ)299号 判決
本件記録によれば、抗告人は、昭和二十三年九月九日付書面で、相手方等に対し、本件土地について、罹災都市借地借家臨時処理法第九条、第二条による賃借の申入をしたこと及び右土地は、都市計画法、戦災都市における建築物の制限に関する勅令の規定により、これに建物を築造するについては、地方長官の許可を必要とする土地であつたことが認められる。このような土地について、前述の賃借の申入をするについては、この土地に建物を築造するについて、あらかじめ地方長官の許可を得るか、少くともその許可を申請した上で、地方長官の許可を停止条件としてでなければ、賃借の申入をすることができないものと解するを相当とする。しかるに、抗告人が、右賃借申入の当時東京都知事の許可を受けていたことはもちろん、許可の申請をしていたことは、これを認めるに足る疎明なく、却つて抗告人は、昭和二十一年頃から昭和二十三年九月九日の賃借申入当時まで、数十囘にわたり、建築許可の申請をしたが、却下されたものであることは、抗告人のみずから主張するところであるから、右抗告人のなした賃借の申入は、前述の理由により、その効力を生じなかつたものといわなければならない。抗告人は、本件土地は、絶対的建築不許可区域ではなく、条件付許可区域であることは、公知の事実であるから、右却下の処分は、係員が法令の明文に反し、法令の手続を欠いた無効の行為であると主張するが、かゝる行政処分は、違法な処分として取り消さるべきものであつたとしても、当然に無効なものと認むべき何等の資料もない。また抗告人提出の建築許可書によれば、抗告人は、その後昭和二十六年九月十三日にいたり、本件土地について建築の許可を申請し、同月十七日東京都知事から、抗告人において、正当に建物の敷地につき建物所有の目的で賃借権を取得することを条件として、建築の許可を得たことを認めることができるが、前述の無効な賃借申入が、それから数年を経た後における建築の許可の申請及び許可によつて、有効となるものとは解されない。